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有料自習室の開業資金はいくら必要?50万円~460万円の規模別シミュレーション

有料自習室の開業資金は いくら必要?

「自習室ビジネスに興味はあるけど、実際いくらかかるの?」そう思ってネットで検索しても、出てくるのは「200万~500万円」といったざっくりした数字ばかりで、「結局、自分の貯金額で始められるのかわからない」と感じていませんか。

この記事では、有料自習室の開業資金を 「5席の超小規模」「10席の標準規模」「20席超の本格規模」の3パターン に分けて、リアルな費用をシミュレーションします。物件取得費、設備費、ICT設備費といった初期費用の内訳から、見落としがちな運転資金まで、すべて具体的な金額で提示します。

読み終える頃には、「あなたの貯金額で、どの規模なら始められるのか」「どうすれば費用を抑えられるのか」が明確にわかるはずです。副業として自習室ビジネスを検討している30代会社員の方にとって、次のステップに進むための判断材料となる内容をまとめました。


目次

そもそも自習室の開業資金って何にかかるの?費用の全体像

自習室の開業資金を考えるとき、まず理解すべきは「初期費用」と「運転資金」の2つに大別されるという構造です。この2つを混同してしまうと、「思っていたより資金が足りない」という事態に陥りがちです。

初期費用とは、開業時に1回だけ発生する費用のことです。物件の敷金・礼金、内装工事、デスクやチェアなどの設備購入、Wi-FiやスマートロックといったICT設備の導入費用などが該当します。これらは開業準備の段階で一気に支払いが発生するため、まとまった資金が必要になります。

一方、運転資金とは、会員がゼロまたは少ない状態から、損益分岐点に達するまでの赤字期間を耐えるための資金です。具体的には、売上が安定するまでの家賃・光熱費などの固定費や、副業の場合でも予想外の出費に対応するバッファ資金を指します。

ここで前向きな事実を一つお伝えします。自習室ビジネスは、飲食店や美容室と比べて開業コストが格段に低い業種です。飲食店なら厨房設備だけで数百万円、美容室ならシャンプー台や施術椅子で同様のコストがかかりますが、自習室は基本的に「デスク・チェア・Wi-Fi」があれば営業できます。調理師免許や美容師免許のような特別な資格も不要です。これが自習室ビジネスの大きな魅力であり、副業として始めやすい理由でもあります。

初期費用の内訳7項目をざっくり理解する

初期費用の具体的な内訳を7つの項目に分けて見ていきましょう。それぞれの概算レンジを把握することで、全体像が見えてきます。

1. 物件取得費 賃貸物件を契約する場合の敷金・礼金・仲介手数料・保証金などです。一般的な相場は家賃の4~6ヶ月分。家賃10万円の物件なら40万~60万円が目安です。間借りやシェアスペース転用の場合は大幅に抑えられます。

2. 内装工事費 間仕切りの設置、照明の追加、電源コンセントの増設、壁紙の張替えなどが該当します。居抜き物件を活用すれば10万円程度で済むケースもあれば、スケルトン物件(何もない状態)から始める場合は100万円を超えることもあります。

3. 設備費 デスク、チェア、ブースパーティション(仕切り板)などの購入費用です。新品で揃えると1席あたり3万~5万円、中古やDIYを活用すれば1万~2万円に抑えられます。

4. ICT設備費 Wi-Fiルーター、スマートロック、電子決済端末、監視カメラなどの費用です。無人運営を目指すなら必須の投資で、トータル10万~40万円が相場です。

5. 備品費 文房具、ゴミ箱、時計、空気清浄機、除菌スプレー、掲示物などの細かい消耗品です。トータルで3万~10万円程度を見込んでおきましょう。

6. 広告宣伝費 Webサイト制作、Googleビジネスプロフィール登録、チラシ作成などの集客費用です。無料ツールを活用すればゼロ円から始められますが、有料広告やプロのサイト制作を依頼すると5万~30万円かかります。

7. 各種届出・手続きの費用 開業届の提出は無料ですが、消防署への防火対象物使用開始届などが必要になる場合があります。ほとんどの手続きは無料~数千円程度で済みます。

項目概算レンジ(最小規模)概算レンジ(標準規模)概算レンジ(本格規模)
物件取得費10万~30万円50万~100万円80万~150万円
内装工事費0万~10万円20万~50万円30万~70万円
設備費15万~30万円30万~60万円40万~80万円
ICT設備費5万~15万円10万~25万円10万~20万円
備品費3万~5万円5万~10万円10万~20万円
広告宣伝費2万~5万円5万~15万円10万~20万円
手続き費用0万~1万円0万~1万円0万~1万円

この表を見ると、規模によって費用が大きく変わることがわかります。次に、見落としがちな運転資金について解説します。

見落としがちな「運転資金」の考え方

初期費用の計算はしっかりやったのに、「運転資金」を忘れていたために開業後すぐに資金ショートしてしまった、というのは自習室ビジネスでよくある失敗パターンです。

運転資金とは、会員がゼロまたは少数の状態から、損益分岐点(収支がプラスマイナスゼロになる地点)に達するまでの赤字期間を耐える資金のことです。自習室は開業初月から満席になることはほぼありません。口コミやGoogleマップの評価が蓄積されるまでには時間がかかるため、3ヶ月~6ヶ月程度は会員数が伸び悩むことを覚悟しておく必要があります。

その間も家賃・光熱費・通信費といった固定費は毎月確実に出ていきます。家賃10万円の物件なら、6ヶ月分で60万円。売上がゼロでもこの金額は支払わなければなりません。最低でも家賃3ヶ月分、理想は6ヶ月分の運転資金を確保すべきというのが業界の共通認識です。

ただし、副業として自習室を運営する場合は、本業の給料があるため運転資金のハードルは大きく下がります。仮に自習室の収支が赤字でも、本業の給料で家賃を払い続けることができるからです。これは副業ならではの大きなメリットで、専業で始める人と比べてリスクが格段に低くなります。

とはいえ、「本業の給料があるから大丈夫」と油断して運転資金をゼロにしてしまうのは危険です。予想外の設備故障や、想定より高い光熱費など、開業後には計算外の出費が発生するものです。最低限の運転資金バッファは必ず確保しておきましょう。


【規模別シミュレーション】予算で選べる3つの開業パターン

ここからが、この記事の核心部分です。自習室の開業資金を「超小規模(5席)」「標準規模(10~15席)」「本格規模(20席以上)」の3パターンに分けて、それぞれの費用内訳を具体的にシミュレーションします。

各パターンには「こういう人におすすめ」というペルソナも設定しているので、あなたの貯金額や目標に照らし合わせながら読み進めてください。表形式で費用の内訳を詳細に示しますので、「自分の予算ならどれが現実的か」がすぐにわかるはずです。

パターンA|超小規模(5席):50万~100万円|まずは最小リスクで始めたい人向け

想定条件は、既存のレンタルスペースやコワーキングスペースの一角を間借りする、または自宅の一室を転用するケースです。席数は5席程度、デスクとチェアは中古品やDIYを活用してコストを抑えます。無人運営システムは最小限にとどめ、スマートロックやWi-Fiは必要最低限のグレードを選びます。

費用内訳の詳細は以下の通りです。

項目金額備考
物件取得費10万~30万円間借りの場合は保証金のみ、自宅転用ならほぼゼロ
内装工事費0万~5万円DIYで間仕切りを設置する程度
設備費15万~30万円中古デスク・チェア5席分、ブースパーティション
ICT設備費5万~15万円Wi-Fiルーター、簡易スマートロック、決済システム
備品費3万~5万円文房具、時計、ゴミ箱、掲示物など
広告宣伝費2万~5万円無料ツール中心、チラシ印刷費のみ
運転資金15万~20万円家賃・光熱費3ヶ月分のバッファ
合計50万~100万円

このパターンのメリットは、何と言っても会社員の貯金で十分に始められる点です。100万円以内に収まるため、失敗しても「致命傷にならない」リスクレベルです。副業の経験がない人にとって、「まずは小さく始めて、ビジネスの感覚を掴む」という使い方が最適です。

このパターンのデメリットは、席数が少ないため月の売上上限が低いことです。仮に5席すべてが月額会員(1席1万円)で埋まっても、月売上は5万円。家賃や光熱費を差し引くと利益は限定的です。また、間借りの場合は立地が限られるため、駅近などの好立地を選べないケースもあります。

向いている人は、「まず副業の自習室ビジネスを試してみたい」「副業自体の経験がなく、リスクを最小限にしたい」「貯金が100万円以内で、まとまった資金が用意できない」という方です。このパターンなら、仮に半年で撤退することになっても、損失は限定的で再チャレンジも可能です。

パターンB|標準規模(10~15席):150万~300万円|副業として本気で収益を狙う人向け

想定条件は、賃貸物件を正式に契約し、10~15席を設置する本格的な自習室です。デスクやチェアは新品と中古を混合して使い、無人運営システム(スマートロック・監視カメラ・電子決済)をしっかり導入します。立地は駅から徒歩10分圏内を想定し、集客しやすい環境を整えます。

費用内訳の詳細は以下の通りです。

項目金額備考
物件取得費50万~100万円敷金・礼金・仲介手数料(家賃10万円×5~6ヶ月分)
内装工事費20万~50万円間仕切り設置、照明追加、電源工事など
設備費30万~60万円新品・中古混合のデスク・チェア10~15席分
ICT設備費10万~25万円Wi-Fi、スマートロック、監視カメラ、決済端末
備品費5万~10万円文房具、空気清浄機、時計、除菌グッズなど
広告宣伝費5万~15万円Webサイト制作、Googleビジネス登録、チラシ配布
運転資金30万~50万円家賃・光熱費6ヶ月分のバッファ
合計150万~300万円

このパターンのメリットは、月額売上で10万~20万円が狙える現実的な規模である点です。10席すべてが月額会員(1席1万円)で埋まれば月売上10万円、15席なら15万円です。家賃や光熱費を差し引いても、月5万~10万円の利益が見込めます。副業として「月10万円の副収入」を目指すなら、このパターンが最もバランスが良いです。

このパターンのデメリットは、物件契約の審査や内装工事の手間が発生する点です。賃貸契約には保証人や初期費用がまとまって必要になるため、間借りより手続きが複雑です。また、内装工事は業者との打ち合わせや工期の調整が必要で、開業までに2~3ヶ月かかることもあります。

向いている人は、「副業で月10万円以上の収益を本気で目指したい」「貯金が200万円前後あり、しっかりと投資できる」「将来的には副業から本業にシフトする可能性も考えている」という方です。パターンBは、副業としての自習室ビジネスの「本命」と言える規模です。

パターンC|本格規模(20席以上):230万~460万円|将来の独立も視野に入れる人向け

想定条件は、駅近の好立地に賃貸物件を契約し、20席以上を設置する本格的な自習室です。物件は15〜20坪程度、家賃15万円前後を想定します。内装工事も本格的に行い、快適な学習環境を整えます。無人運営システムはフル装備で、監視カメラ・スマートロック・電子決済・会員管理システムまで導入します。将来的には法人化も視野に入れた規模です。

費用内訳の詳細は以下の通りです。

項目金額備考
物件取得費80万~150万円敷金・礼金・仲介手数料(家賃15万円×5~6ヶ月分)
内装工事費30万~70万円本格的な間仕切り、照明、電源工事、床材など
設備費40万~80万円新品デスク・チェア20席以上、高品質なパーティション
ICT設備費10万~20万円業務用Wi-Fi、監視カメラ、スマートロック、決済・会員管理システム
備品費10万~20万円空気清浄機、除菌設備、掲示物、インテリアなど
広告宣伝費10万~20万円Webサイト制作、Google広告、SNS広告、チラシ配布
運転資金50万~100万円家賃・光熱費6~12ヶ月分のバッファ
合計230万~460万円

このパターンのメリットは、月額売上で30万~50万円を狙える点です。自習室は全員が毎日同じ時間に来るわけではないため、座席数の2〜3倍の会員を受け入れるのが一般的です。20席なら30〜50名の月額会員を抱えることが現実的で、月売上30万~50万円が狙えます。家賃や光熱費などの固定費(約22万円)を差し引くと、月8万~28万円の利益が見込めます。将来的に独立して本業にすることも現実的です。法人化すれば社会的信用も高まり、融資や補助金の申請もしやすくなります。

このパターンのデメリットは、パターンA・Bに比べて初期投資が大きく、失敗時のダメージが大きくなる点です。自己資金で不足する場合は日本政策金融公庫などからの融資を活用することになります。会員が集まらず撤退となった場合、損失は200万円以上になる覚悟が必要です。

向いている人は、「将来的に独立して自習室ビジネスを本業にしたい」「初期投資200万~300万円を捻出できる(融資活用含む)」という方です。パターンCは、副業の延長ではなく、「起業」としての自習室ビジネスを目指す人向けの規模です。

3パターンの比較表で自分に合った規模を見つける

ここまでの3パターンを横並びで比較してみましょう。以下の表で、自分に合った規模がどれかを判断してください。

項目パターンA(超小規模)パターンB(標準規模)パターンC(本格規模)
初期費用50万~100万円150万~300万円230万~460万円
席数5席程度10~15席20席以上
月間売上目安3万~5万円10万~20万円30万~50万円
投資回収期間12~24ヶ月18~30ヶ月18~30ヶ月
リスク度低い中程度中~高
おすすめの人副業初心者、リスク回避型副業で月10万円を目指す人将来の独立を視野に入れる人

迷ったらパターンAかBから始めて、軌道に乗ったら拡大するというのが現実的なアプローチです。いきなりパターンCで始めて失敗すると、再チャレンジが難しくなります。まずは小さく始めて、「この立地なら会員が集まる」「この価格帯なら継続してくれる」という手応えを掴んでから、2店舗目をパターンBやCで出店する、というステップを踏むのが安全です。

副業として自習室ビジネスを始めるなら、費用対効果のバランスが最も良いのはパターンBです。月10万円の副収入が実現できれば、生活の自由度は大きく上がります。年間120万円の収入増は、家族旅行や貯蓄に回せる金額として十分なインパクトがあります。


開業資金を50万円以上抑える7つのコスト削減術

「規模別のシミュレーションはわかったけど、もう少し安くできないか」と考えるのは自然なことです。ここでは、開業資金を50万円以上抑えるための具体的なコスト削減術を紹介します。

ただし、削ってはいけないものも同時に明示します。費用を抑えすぎて顧客満足度を犠牲にすると、退会率が上がり、結果的に収益が悪化するからです。賢く削る方法を知って、失敗リスクを防ぎましょう。

物件コストを下げる3つの方法

物件取得費は開業資金の中で最も大きな割合を占めるため、ここを抑えられるかどうかが成否を分けます。以下の3つの方法を検討してください。

1. 居抜き物件を狙う 居抜き物件とは、前のテナントの内装や設備がそのまま残っている物件のことです。例えば、以前が塾や予備校だった物件なら、すでに間仕切りやデスクが残っていることがあります。これを活用すれば、内装工事費を大幅にカットできます。不動産ポータルサイトで「居抜き」と検索するか、不動産会社に「以前が教育関係の物件を探している」と伝えるのが効果的です。

2. フリーレント交渉 フリーレントとは、契約後の最初の1~2ヶ月分の家賃を無料にしてもらう交渉のことです。特に空室期間が長い物件や、オーナーが早く入居者を決めたがっている物件では、交渉の余地があります。「内装工事の期間は営業できないので、その間の家賃を免除してほしい」と理由を添えて交渉すると、成功率が上がります。家賃10万円の物件で2ヶ月分のフリーレントが通れば、20万円のコスト削減になります。

3. 間借り・シェアスペースからスタート 既存のコワーキングスペースやレンタルスペースの一角を間借りすることで、物件取得費そのものをなくす方法です。保証金や敷金・礼金が不要になり、初期費用を大幅に抑えられます。ただし、間借りの場合は営業時間や利用ルールがオーナーに依存するため、自由度は下がります。まずは間借りで会員を集め、軌道に乗ったら独立した物件に移転する、という段階的アプローチも有効です。

設備・備品を賢く揃えるコツ

デスクやチェアなどの設備費は、新品にこだわると1席あたり5万円を超えることもあります。ここを賢く抑える方法を紹介します。

中古オフィス家具の活用が最も効果的です。「オフィスバスターズ」「オフィスバンク」といった中古オフィス家具専門の通販サイトを活用すれば、新品の半額以下で購入できます。デスクなら1台5,000円~1万円、チェアも1脚3,000円~8,000円程度で揃います。10席分揃えても10万円以内に収まるケースが多いです。

デスク・チェアの選び方で注意すべきは、安すぎるとクレームにつながるという点です。例えば、チェアの座り心地が悪いと「長時間座っていられない」という不満が出て、退会につながります。中古でも良いですが、「座面のクッションがしっかりしている」「背もたれが高い」「キャスターがスムーズ」といった最低限の品質は確保しましょう。

「ここだけはケチらない」ポイントは3つです。1つ目はチェアの座り心地。2つ目は照明の明るさ。暗いと目が疲れてクレームになります。3つ目はWi-Fiの速度。自習室の会員はオンライン講義を受けたり、調べ物をしたりするため、Wi-Fiが遅いと致命的です。この3点だけは、ケチらずに投資してください。

広告宣伝費はゼロ円から始められる

広告宣伝費は、開業初期には最も削りやすい費用です。有料広告を使わなくても、無料ツールだけで十分に集客できます。

Googleビジネスプロフィールは無料で登録でき、Googleマップ検索で上位表示されるため、地域密着型の自習室には必須です。開業前に登録を済ませ、写真や営業時間、料金プランを充実させておきましょう。口コミが集まると検索順位が上がり、広告費をかけずに集客できます。

SNS運用(Instagram、X(旧Twitter))も無料で始められます。「○○駅徒歩5分の自習室、今なら初月半額キャンペーン中」といった投稿を定期的に発信し、ハッシュタグ「#○○駅 #自習室 #勉強垢」などをつけてリーチを広げましょう。フォロワーが増えれば、口コミで広がっていきます。

有料広告(Google広告、Instagram広告)は、会員数が安定してからで十分です。最初の3~6ヶ月は無料施策だけで運営し、その後「もっと集客を加速したい」と感じたタイミングで有料広告を検討する、という順序がリスクを抑えるコツです。


自己資金だけで足りないときの資金調達4つの選択肢

パターンB(150万~300万円)やパターンC(230万~460万円)を目指す場合、自己資金だけでは不足するケースがあります。その場合の資金調達手段を4つ紹介します。

副業の会社員でも使える現実的な方法に絞って解説します。事業計画書の書き方の詳細は別記事に譲り、ここでは「こういう選択肢がある」という全体像を把握してください。

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」

無担保・無保証人で最大3,000万円まで借りられるのが、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」です。民間の銀行と違い、創業間もない事業者や副業の会社員でも融資を受けやすいのが特徴です。

副業でも申請可能か?という疑問については、原則として可能です。ただし、事業計画書の説得力が審査通過の鍵になります。「なぜ自習室ビジネスを始めるのか」「どうやって収益を上げるのか」「競合との差別化ポイントは何か」を明確に説明できる事業計画書が必要です。

自己資金割合の目安は、総資金の3分の1程度が望ましいとされています。例えば、総資金300万円で融資を受けたい場合、自己資金は100万円以上あると審査が通りやすくなります。自己資金ゼロでの融資はほぼ不可能です。

審査通過のポイントは以下の3つです。1つ目は、自己資金の証明。通帳のコピーなどで、計画的に貯蓄してきたことを示します。2つ目は、事業計画書の具体性。売上予測や費用計画が現実的で、根拠が明確であることが重要です。3つ目は、面談での熱意。担当者との面談で、「この人なら返済できそうだ」と思わせる誠実さと熱意が求められます。

副業でも使える補助金・助成金3選

補助金・助成金は、返済不要の資金調達手段です。ただし、「後払い」が基本なので、手元資金は別途必要という点に注意してください。

1. 小規模事業者持続化補助金 上限50万~200万円(申請枠により異なる)で、広告宣伝費や設備費の一部を補助してもらえます。採択率は全国平均で50~70%程度で、比較的通りやすい補助金です。年に数回公募があるため、開業スケジュールに合わせて申請タイミングを調整しましょう。

2. IT導入補助金 無人運営システム(スマートロック、会員管理システム、電子決済端末など)の導入費用を補助してもらえます。上限は50万~450万円(申請枠により異なる)で、ICT設備を充実させたい場合に有効です。IT導入支援事業者と連携する必要があるため、事前に対象のシステムを確認してください。

3. 各自治体の創業支援補助金 東京都や大阪市など、自治体ごとに独自の創業支援補助金があります。「○○区 創業補助金」「○○市 開業支援」などで検索すると、地元の制度が見つかります。金額は数十万円~数百万円と幅がありますが、地域密着型の自習室ビジネスには相性が良いです。

申請難易度・採択率の目安は、小規模事業者持続化補助金が最も通りやすく、IT導入補助金は中程度、自治体の補助金は制度により大きく異なります。申請のタイミングは、開業準備の段階で早めに情報収集し、公募スケジュールに合わせて事業計画書を準備することが重要です。

繰り返しになりますが、補助金は後払いが基本です。一旦自己資金や融資で費用を支払い、その後に補助金が振り込まれる流れです。そのため、「補助金が当たるまで手元資金がゼロ」という状態で開業するのは危険です。必ず手元資金を確保した上で、補助金は「プラスアルファ」と考えましょう。

クラウドファンディングという選択肢

クラウドファンディングは、開業前の集客と資金調達を同時にできるユニークな方法です。「○○駅に新しい自習室を作ります。支援してくれた方には先行会員価格で利用できる権利をプレゼント」といったプロジェクトを立ち上げ、支援者を募ります。

リターン設計の例としては、以下のようなものが考えられます。
・3,000円:開業前の内覧会ご招待
・10,000円:初月無料の月額会員権
・30,000円:3ヶ月間半額の月額会員権
・50,000円:6ヶ月間半額+デスクにネームプレート設置

クラウドファンディングのメリットは、資金調達だけでなく、「開業前から会員候補を集められる」点です。支援者は開業時に自動的に会員になってくれるため、初月から一定数の会員が確保できます。

成功のハードル・集められる金額の現実的な目安は、地方の自習室で30万~100万円、都市部の好立地なら100万~300万円程度です。ただし、必ず成功するわけではないことに注意してください。プロジェクトが目標金額に達しなければ、1円も調達できません(All or Nothing方式の場合)。また、リターンの発送やコミュニケーションの手間もかかるため、時間と労力を惜しまない覚悟が必要です。

家族からの借入・副業の貯蓄で準備する場合の現実的プラン

融資や補助金、クラウドファンディングはハードルが高いと感じる人には、地道に貯蓄するという選択肢もあります。副業の会社員なら、本業の給料がある分、計画的に貯めやすいはずです。

例えば、月3万~5万円を12ヶ月間貯めると、36万~60万円になります。これはパターンA(超小規模)の圏内です。月5万~8万円を24ヶ月間貯めると、120万~192万円になり、パターンB(標準規模)の下限に届きます。

「すぐに始めたい」という気持ちは理解できますが、資金を貯める時間を「準備期間」と捉えるのが賢明です。貯蓄期間中にやっておくべきことは、以下の4つです。

  1. 市場調査:競合の自習室を実際に利用してみて、価格帯やサービス内容を把握する

  2. 物件リサーチ:候補エリアの家賃相場や空室状況を定期的にチェックする

  3. 事業計画策定:売上予測や費用計画を具体的に作り込む

  4. スキル習得:簿記や集客スキル、SNS運用などを学んでおく

貯蓄期間を「ただ待つ時間」にするのではなく、「開業後のスタートダッシュを成功させるための準備期間」にすることで、開業後の成功率は大きく上がります。

家族からの借入も選択肢の一つですが、必ず返済計画を明確にして書面で残すことをおすすめします。「身内だから適当でいい」と考えると、後々トラブルになるケースがあります。金利や返済期間を明確にし、事業計画書も共有して理解を得ることが大切です。


投資したお金はいつ回収できる?回収期間の目安

開業資金を投じた後、「いつ回収できるのか」は誰もが気になるポイントです。上位記事にはほとんど書かれていない、投資回収期間の目安を規模別に提示します。

ただし、これはあくまで「順調に会員が集まった場合」のシミュレーションです。立地や競合状況、集客施策の巧拙によって大きく変動することを前提に読んでください。

規模別の投資回収シミュレーション

パターンA(50万~100万円)の場合 月間利益が2万~4万円程度と想定すると、投資回収期間は12~24ヶ月です。5席すべてが月額会員(1席1万円)で埋まれば月売上5万円。ここから家賃・光熱費・通信費などの固定費を差し引くと、月間利益は2万~4万円程度になります。100万円の初期投資なら、25ヶ月(約2年)で回収できる計算です。

パターンB(150万~300万円)の場合 月間利益が5万~10万円程度と想定すると、投資回収期間は18~30ヶ月です。15席のうち10席が月額会員(1席1万円)で埋まれば月売上10万円。ここから家賃・光熱費などを差し引くと、月間利益は5万~10万円程度です。300万円の初期投資なら、30ヶ月(2年半)で回収できます。

パターンC(230万~460万円)の場合 月間利益が8万~28万円程度と想定すると、投資回収期間は18~30ヶ月です。自習室は全員が同じ時間に来るわけではないため、20席でも30〜50名の会員を受け入れることが可能です。会員40名なら月売上40万円、固定費約22万円を差し引いて月間利益は約18万円。初期投資300万円(運転資金込み)なら、約17ヶ月(1年半)で回収できる計算です。

ここで重要なメッセージをお伝えします。副業は本業の給料があるから、焦らなくてOKです。専業で自習室を経営する場合、「早く黒字化しないと生活できない」というプレッシャーがありますが、副業ならそのプレッシャーはありません。2~3年かけてじっくり回収する、という長期視点で臨めるのが副業の強みです。

回収を早めるために開業時に意識すべき3つのこと

投資回収期間を短縮するために、開業時に意識すべきポイントを3つ紹介します。

1. 稼働率の立ち上げスピードが回収期間を決める 開業後3ヶ月以内に半分以上の席を埋められるかどうかが、回収期間を大きく左右します。そのためには、開業前の集客準備が重要です。Googleビジネスプロフィールの登録、SNSアカウントの開設、チラシの配布などを開業1~2ヶ月前から始めておきましょう。「開業してから集客を始める」のでは遅いです。

2. 初期費用を下げすぎて顧客満足度を犠牲にしない コスト削減は重要ですが、削りすぎて「チェアが座りにくい」「Wi-Fiが遅い」「照明が暗い」といった不満が出ると、退会率が上がります。退会率が高いと、新規会員を集めても穴の空いたバケツに水を注ぐようなもので、いつまで経っても稼働率が上がりません。初期費用の一部は「顧客満足度への投資」と割り切り、ケチるべきでない部分はしっかり投資しましょう。

3. 月額プランの比率を高める ドロップイン(1日利用)より月額会員の方が収益が安定します。例えば、1時間500円のドロップインで1日3時間×月20日利用されても月売上3万円ですが、月額会員なら1人で月1万円が安定して確定します。開業時のキャンペーンで「初月半額の月額プラン」を打ち出すなど、月額会員を増やす施策を優先しましょう。月額会員が多いほど、収益予測が立てやすく、投資回収計画も現実的になります。


「結局いくら貯めればいいの?」予算別のおすすめアクション

ここまで読んで、「結局、自分はいくら貯めればいいのか」「今すぐ始めるべきか、それとももう少し貯蓄すべきか」と迷っている方もいるでしょう。

このセクションでは、あなたの現在の貯蓄額別に「次に何をすべきか」を明確に示します。自分の貯金額に当てはまる項目を読んで、次のアクションを決めてください。

貯金50万円以下の人→まずは情報収集と貯蓄を並行

貯金が50万円以下の場合、今すぐの開業は推奨しません。パターンAでも最低50万円は必要なため、まずは6~12ヶ月の準備期間を設けることをおすすめします。

この期間にやるべきことは2つです。1つ目は貯蓄を継続すること。月3万~5万円を目標に貯め、50万円以上を目指しましょう。2つ目は情報収集と準備です。具体的には、競合の自習室を実際に見学して料金プランやサービス内容を調べる、候補エリアの物件相場をネットでリサーチする、自習室ビジネスに関する書籍やブログを読んで知識を深める、といった活動です。

「貯蓄期間は退屈だ」と感じるかもしれませんが、この準備期間があるかないかで、開業後の成功率は大きく変わります。焦らず、着実に準備を進めましょう。

貯金50万~150万円の人→超小規模(パターンA)でスタート可能

貯金が50万~150万円の範囲にある人は、パターンA(超小規模・5席)でスタート可能です。まずは「小さく始めて検証する」ことを推奨します。

パターンAのメリットは、リスクが限定的なことです。仮に半年で「やっぱり自分には合わない」と判断しても、損失は100万円以内に収まります。副業の最初のチャレンジとしては、これ以上ないほど手頃な規模です。

開業後は、会員の反応や収益性を検証しながら、「もっと席数を増やすべきか」「別の立地に移転すべきか」を判断しましょう。パターンAで成功体験を積んでから、パターンBに拡大するのが安全なルートです。

貯金150万~300万円の人→標準規模(パターンB)で本気の副業に

貯金が150万~300万円ある人は、パターンB(標準規模・10~15席)で本気の副業として取り組むことをおすすめします。この規模なら、月10万円以上の副収入が現実的に狙えます。

パターンBは副業として最もバランスが良く、費用対効果が高い規模です。ただし、物件契約や内装工事など、パターンAより手間と時間がかかるため、事業計画を立てて計画的に進めることが重要です。

開業前に、収支シミュレーションを細かく作成し、「月に何人の会員が必要か」「家賃や光熱費を差し引いて利益がいくら残るか」を明確にしておきましょう。計画があれば、開業後の判断もブレません。

貯金200万円以上 or 融資活用の人→本格規模(パターンC)も選択肢に

貯金が200万円以上ある、または融資を活用する覚悟がある人は、パターンC(本格規模・20席以上)も選択肢に入ります。将来的に独立して自習室ビジネスを本業にしたいなら、パターンCの規模が必要です。

ただし、融資を受ける場合は事業計画書が必須です。日本政策金融公庫の担当者に「この事業は返済できる見込みがある」と納得してもらえるだけの根拠とデータを揃えましょう。市場調査、競合分析、売上予測、費用計画、収支シミュレーションなど、すべてを詳細に作り込む必要があります。

パターンCはパターンBに比べてリターンが大きい反面、初期投資額も増えます。もし迷うなら、まずはパターンBで始めて、軌道に乗ってから2店舗目をパターンCで出店する、という段階的アプローチも有効です。


まとめ

自習室ビジネスは、他の業種と比べて圧倒的に低コストで始められる魅力的なビジネスです。飲食店や美容室のように数百万円の設備投資が不要で、資格も特別なスキルも必要ありません。副業として取り組みやすく、本業の給料がある分、リスクを抑えながらチャレンジできます。

この記事で紹介した3パターンを改めて整理すると、以下のようになります。

  • パターンA(超小規模・5席):50万~100万円 まずは最小リスクで始めたい人向け。副業初心者や貯金が限られている人に最適。

  • パターンB(標準規模・10~15席):150万~300万円 副業として本気で月10万円の収益を狙う人向け。費用対効果のバランスが最も良い。

  • パターンC(本格規模・20席以上):230万~460万円 将来の独立も視野に入れる人向け。初期投資200〜300万円程度を捻出できることが条件。

金額感がわかったら、次は具体的な収支シミュレーションで利益がどれくらい出るか確認しましょう。月にどれだけの会員を集めれば黒字化するのか、損益分岐点はどこかを把握することで、開業後の見通しがさらに明確になります。

また、「自習室ビジネスの始め方の全体像を知りたい」という方は、物件選びのポイントや集客方法、無人運営システムの導入手順などを解説した別記事も参考にしてください。

最後に、一つだけお伝えします。この記事で紹介した数字は、相場データと業界知見に基づいた妥当な範囲での目安です。実際の費用は立地や時期、物件の条件により変動します。また、補助金制度は年度ごとに変更があるため、最新情報は必ず公式サイトで確認してください。

「自分にもできそうだ」と感じたなら、まずは小さな一歩を踏み出してみてください。貯蓄を始める、競合を見学してみる、物件情報をチェックしてみる。どんな小さなアクションでも構いません。行動を始めた人だけが、副業で月10万円の収入を手に入れることができます。


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